○北上地区消防組合消防本部再燃火災防止対策規程

平成7年12月28日

消本訓令第3号

(目的)

第1条 この訓令は、再燃による火災の絶無を図るため、再燃火災の防止に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)

第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火勢鎮圧 火勢が消防隊制御下に入り、拡大の危険がなくなったと現場最高指揮者が認定したときの状態をいう。

(2) 残火処理 火勢鎮圧後、残り火を点検処理し鎮火に至るまでをいう。

(3) 鎮火 現場最高指揮者が再燃のおそれがないと認定したときの状態をいう。

(4) 現場最高指揮者 火災現場において、消防隊を統括指揮する消防機関の最高指揮者をいう。

(5) 現場保全区域 火災原因調査等の必要上保全すべき区域をいう。

(6) 消防警戒区域 命令で定める者以外の者の退去を命じ、又は出入りを禁止し、若しくは制限する区域をいう。

(消火活動等の推移区分)

第3条 消防機関の消火活動等の推移区分は、別表第1のとおりとする。

(指揮体制及び要領)

第4条 残火処理活動を行うための指揮体制は、現場最高指揮者がこれに当たり、火災の規模及び状況等により決定するものとし、指揮要領は次の各号に定めるところによる。

(1) 現場最高指揮者は、残火処理活動をもれなく、かつ、効率的に行うために消防隊等ごとに残火処理活動の担当区域を指定するものとする。この場合、木造建物にあっては、焼け止まり付近、耐火建物にあっては、直上階等に対する延焼危険箇所を重点区域とし、収容物のみが焼きする等、消防隊到着時に、既に消火活動の必要がない場合においても、残火処理活動を行う消防隊等を指定するものとする。

(2) 現場最高指揮者は、残火処理活動のために消防対象物を破壊する場合、過剰破壊とならないように破壊箇所、破壊範囲及び破壊要領等を指示するものとする。

(3) 現場最高指揮者は、残火処理活動のため注水する場合、消防対象物の構造、用途及び燃焼物等により残火処理活動に適した注水種別を選定するとともに、その要領を指示し、さらに水損防止用資機材の活用を指示するよう努めるものとする。

(4) 現場最高指揮者は、残火処理活動のため消防対象物を破壊する場合又は焼残物の搬出等を行う場合は、火災原因の調査上必要な現場の保存又は証拠の保全について指示するよう努めるものとする。この場合において、火災の規模状況等から必要に応じ、残火処理後の焼け止まりの状況について写真撮影を行うものとする。

(5) 現場最高指揮者は、火災現場が残火処理の段階で、消火活動上危険な状態になっている場合が多いことから、特に壁体の倒壊、かわら等の落下、柱等の転倒及び踏み抜き等による危害を防止するため、消防隊等の安全管理に十分配慮するものとする。

(6) 現場最高指揮者は、消防隊等に担当区域ごとの残火処理チェックカード(様式第1号。以下「チェックカード」という。)を提出させ、確認のうえ残火処理活動について必要な指示を行うものとする。

(7) 現場最高指揮者は、消防隊等引き揚げのときは、当該消防対象物の関係者等に対し、文書又は口頭により消防隊等引き揚げ後の警戒等について協力を求めるほか、火災の規模及び状況等必要に応じ、消防隊等を指定し、巡回を行う措置を講ずるものとする。

(残火処理大綱)

第5条 残火処理大綱は、別表第2の定めるところによる。

(残火処理活動上の留意事項)

第6条 残火処理の担当区域を指定された消防隊等は、配備されている資機材を効率的に活用するとともに、当該消防対象物の関係者の積極的な協力を得るものとする。

2 残火処理活動は、残火処理大綱に基づきチェックカードを活用して未処理部分をなくすものとする。

3 破壊活動は、次の各号に定めるところによる。

(1) 破壊活動は、原則として現場最高指揮者の命令に基づいて行うものとする。

(2) 破壊箇所は、作業が容易で、かつ、最大の効果が発揮できる部分とする。

(3) 破壊範囲は、必要最小限度に止めるものとする。

(4) 破壊する場合は、必要に応じ事前に関係者の承諾を得るものとする。ただし、関係者の不在等によって承諾を得られない未確認部分については、特に警戒をするものとする。

4 注水活動は、次の各号に定めるところによる。

(1) 残火処理が必要な消防対象物に、適応した注水方法等の効率的な注水を行うものとする。

(2) 可燃物が堆積している場合は、筒先を差し込み、掘り起こし又は屋外に搬出して注水するものとする。

(3) 水損防止用資機材を活用するなどして水損防止に努め、鎮圧後は過剰な注水を避けるものとする。

5 可燃物焼残物の搬出は、次の各号に定めるところによる。

(1) 水切れとともに再燃のおそれがある物品(布団、マット、繊維類、紙、木材、茅、わら等)は、必要に応じて屋外の安全な場所へ搬出し、残火処理活動を行うものとする。

(2) 倉庫、木材置場等大量な可燃物の集積場所における可燃物又は焼残物の搬出には、必要に応じ関係者の協力を求めるものとする。

6 消防隊等は、指定された担当区域の残火処理活動が完了した場合、速やかにチェックカードを現場最高指揮者に提出し報告するものとする。

7 消防隊等は、到着時において消火活動の必要がないと思われる場合であっても、チェックカードを活用して未処理部分のないことを確認のうえ、現場最高指揮者にこれを提出し報告するものとする。

(鎮火の決定)

第7条 鎮火の決定は、現場最高指揮者とする。

2 現場最高指揮者は、各担当区域から提出されたチェックカードにもれがないことを点検し、必要に応じ現場を確認した後、鎮火を決定するものとする。

(監視、警戒等の措置)

第8条 現場最高指揮者が、消防警戒区域を設定したときは、消防職員又は消防団員を監視警戒に当たらせるものとする。

2 現場最高指揮者が現場を引き揚げる際に関係者等に現場の監視又は現場保全区域の保全等について協力を求める場合は、原則として説示書(様式第2号)を関係者等に交付するものとする。ただし、口頭による場合は、説示書の内容に準ずるものとする。

(1) 関係者等の範囲は、原則として次のとおりとする。

 火元建物等の所有者、管理者又は占有者

 類焼した建物等の所有者、管理者又は占有者

 強い放射熱等を受けたと予想される建物等の所有者、管理者又は占有者

 前各号に掲げる関係者に係わる従業員又は親族

 その他現場最高指揮者が認めた者

(2) 現場最高指揮者が説示書を交付する場合は、特に危険と思われる場所等を口頭で具体的に説明したうえで、説示書を交付するものとする。

(3) 説示書は、複写書式とし交付した日時等所要の事項を記載して、控えを保存するものとする。

(4) 現場最高指揮者は、説示書を関係者等不在のために交付できない場合には、近隣住民又は管轄の消防団分団長に対し交付し、再燃防止の徹底を期さなければならない。

(再燃火災時の報告)

第9条 消防署長は、再燃火災が発生したときは、再燃火災発生報告書(様式第3号)により消防長に報告しなければならない。

(平成7年消本訓令第3号)

この訓令は、平成8年3月1日から施行する。

(平成17年消本訓令第1号)

この訓令は、平成17年10月1日から施行する。

(平成28年消本訓令第8号)

この訓令は、平成28年6月1日から施行する。

(令和2年消本訓令第6号)

この訓令は、令和2年4月1日から施行する。

(令和2年消本訓令第11号)

この訓令は、令和2年5月20日から施行する。

(令和2年消本訓令第13号)

この訓令は、令和2年7月8日から施行する。

別表第1(第3条関係)

消防機関の消火活動等の推移区分

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別表第2(第5条関係)

残火処理大綱

(建物火災)

構造別

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

処理要領

木造

屋根、小屋裏、天井裏、床下等

点検口、(押入れの天井部分等)等から内部を視認する。

① かや、わらぶき屋根及び小屋裏に収容してあるわら等は、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 小屋裏、天井裏等及び床下の点検には、天井、床等を一部破壊する。

家具類(タンス等)、戸棚の裏側等

移動させて火気及び煙の有無を確かめさらに内部の収容物を視認する。

① 収容物の内、衣類、書籍類で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 家具類、戸棚等を移動し、必要に応じ破壊器具等により局部破壊する。

押入れ、戸袋等

① 収容物を引き出し、内部を視認して、火気及び煙の有無を確かめる。

② 小屋裏への燃え抜け状況を確認する。

① 収容物等で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 小屋裏の点検は、天井、壁等を一部破壊する。

厨房等の火気使用施設周囲の鉄板張り内装裏面及び煙突の貫通部分等

変色部分等の表面を素手で触れて温度を確かめる。

変色部分等の表面温度の高い部分及び煙突の貫通部分を破壊器具等により局部破壊する。

かわら下地、畳の合せ目等

① 焼け止まり箇所等を視認する。

② 畳で焼きの深いものは、床板まで燃え抜けているか確認する。

① 畳で焼きしているものは、屋外の安全な場所に搬出する等の必要な措置を講ずる。

② 屋根の点検は、かわら及びその下地等を一部破壊する。

柱、梁、合掌等のほぞ部分等

① 視認及び素面を素手で触れて温度を確認する。

② 通し柱等に焼きがある場合は、小屋裏、天井裏まで視認する。

必要に応じ、けん引ロープ等により柱、梁等を転倒、落下等させる。

焼き堆積物等

堆積物内部の火気を確認する。

① 可能な限りとび口等で掘起し、又は掘崩しを行う。

② 農薬、肥料、その他化学製品等で、注水、加熱等により発熱の危険性があるものは、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

布団、マット、繊維類、紙、木材、木くず類、わら類等

深部に残った火気を素手で触れるなどして確認する。

消火器等で消火したもの又は変色しているものなど、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

強い放射熱を受けた部分、風下消防対象物の飛火危険箇所等

変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。

① 変色又は受熱温度等から必要に応じ破壊器具等で一部を破壊する。

② 布団、繊維類等深部に火気が残りやすいものについては、できるかぎり屋外の安全な場所に搬出する。

耐火

モルタル壁等の二重壁内等

変色又は強い放射熱を受けたと予想される部分を素手で触れて温度を確かめる。

必要に応じ、破壊器具等により二重壁の一部を破壊する。

その他木造及び耐火造に準ずる。

耐火造(準耐火造)

ダクト、パイプスペース等のたて穴部分等

① 点検口等から内部を視認する。

② 直上階等へのたて穴部分等で理戻しの有無を点検する。

③ 可燃物と接している部分を点検する。

① 押入等の収容物を引き出し、たて穴等の有無を確認する。

② ダクト等の一部を破壊する。

ダクト、パイプ等の壁体並びに床貫通部分の仕舞材及び埋戻し箇所等

① 点検口等から視認する。

② 変色部分等の表面を素手で触れ温度を確かめる。

ダクト、天井、側壁等の一部を破壊器具等により破壊する。

その他木造及び耐火造に準ずる。

(林野火災)

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

処理要領

焼け止まり線、木枝等

樹冠、樹幹等

腐葉土等の地中火部分

枯葉、落葉、雑草等

倒木、根株、老木の空洞等

① 焼け止まり線に止まることなく未燃焼部分を含む広範囲に確認する。

② 樹冠火、樹幹火等は、樹皮の表裏等を詳細に確認する。

③ 地表火、地中火は、特に長時間無炎燃焼するおそれがあるので、徹底的に素手で触れ温度を確かめる。

④ 飛火の火源となりやすい枯葉、落葉等を徹底的に探索、確認すること。

⑤ 倒木、根株、老木の空洞等は内部等も詳細に確認すること。

① アカマツ、スギ、ヒノキ等の樹冠火は、一旦燃え出すと火勢が強いので徹底処理する。

② 腐葉土等の地中火は、地中で火源が延長拡大する等、容易に消えない場合があるので、掘り起こし等を行い、徹底処理する。

③ 雑草、落葉、枯葉、枯枝等は飛火の原因になるおそれがあるので、徹底処理する。

④ 山林内に放置された倒木、廃木等は、極力排除して必要な処置を行う。

⑤ 地表面に一部露出する立ち木の根株等は、その表裏を確認し、更に必要があれば地表下部分も発掘し処理を行う。

(車両・船舶・航空機火災)

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

処理要領

未燃焼部分全般

電気ケーブル等

エンジン等の過熱部分等

残存燃料等の危険物等

座席、乗務席の隅部分等

積み荷等

① 燃焼等の危険物漏洩流出による二次災害の防止を主眼として確認する。

② 複数台数が複合、接近等している場合は、切り離し等を行い確認する。

③ 積み荷の裏側等を確認する。

① 内装材の未燃焼部分は必要により破壊し、又は発泡、消火器、注水等による処理を行う。

② 積み荷等は、必要により搬出し、物品及び積載場所周辺等の処理を行う。

③ 残存している燃料又はローリー等の危険物等は、必要により抜き取り、又は発泡消火、消火器等で処理を行う。他の積み荷は安全な場所に搬出し処理する。

④ 複数の台数が接近している場合は、状況により引き離し等を行った後処理する。

(特殊火災)

特に残り火が生じやすい場所等

点検要領

処理要領

洞道、地下施設

危険物施設等

LPG等の高圧ガス施設等

毒物、劇物、薬物、爆発物等の施設等

電気施設

放射性同位元素等の使用施設

① 地下等は、排煙等で視界確保した上で区画毎に順次確認する。

② 高圧ガス、危険物、毒劇物施設は、漏洩、流出の有無等を併せ確認する。

③ 電気施設は、不適な流電路等を遮断した上で確認にあたる。

④ 放射性物質は、放射線量の測定を行い線源の遮蔽をしながら確認する。

① 地下、洞道等の狭隘で活動困難な場所は、消火用発泡資機材等の特殊資機材を活用し、処理を行う。

② 危険物、毒物、劇物は類別等により、消火器、消火泡、乾燥砂、注水等のうち、適正な方法で処理を行う他、必要により抜き取り等安全な場所へ移し処理する。

③ 高圧ガス類は、その種類毎に比重の軽重等を勘案し、処理方法は消火又は抜き取りを行い、状況によっては燃焼継続による残ガス焼滅等を図る。

④ 放射性物質等の特異物質は、人体への被爆等の汚染に留意しながら、関係者等の指示により、適切な処理を行う。

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北上地区消防組合消防本部再燃火災防止対策規程

平成7年12月28日 消防本部訓令第3号

(令和2年7月8日施行)